本記事では抵抗のデータシートに記載されている用語についての解説と各種パラメータを利用した設計計算方法について解説しております。
絶対最大定格
部品を使用するうえで絶対に超えてはいけない値になります。設計時にはこの値を超えないように設計しましょう。
定格電力
定格周囲温度もしくは定格端子部温度の時に連続して印加することのできる電力の最大値。
下記のいずれかの式で求めることが可能。
- \(\ Pr=I×V \)
- \(\ Pr=\ I^2×R \)
- \(\ Pr=\ V^2R \)
※Pr・・・抵抗の定格電力
※I・・・抵抗に流れる電流
※V・・・抵抗に掛かる電圧
※R・・・抵抗の抵抗値
定格周囲温度
データシートに端子部温度特性グラフの記載がない場合はこちらのパラメータを参照しましょう。
定格電力を連続して印加できる周囲温度の最大値。この温度を超えると下記特性グラフのように定格電力が落ちていくので定格周囲温度以上で使用する際は下記特性グラフを利用し、任意の周囲温度時の定格電力比を掛けた値を定格電力としましょう。
例)周囲温度100度の時、下記より定格電力比50%のため、定格電力0.1Wの抵抗は0.05Wまでが定格電力となる。

定格端子部温度
データシートに端子部温度特性グラフの記載がある場合はこちらのパラメータを参照しましょう。
定格電力を連続して印加できる抵抗の端子部温度の最大値。(自己発熱による温度上昇も含む)
抵抗器が実装されているプリント基板が異なれば端子部温度が変化するため実装基板ごとに端子部温度の計測が必要になります。定格端子部温度以上で使用する際は下記特性グラフを利用し、任意の端子部温度時の定格電力比を掛けた値を定格電力としましょう。
端子部温度の測定方法は以下になります。
- 電極上面(左右いずれか高い方)を端子温度と定義。熱電対を極板上に点付け(薄い接着/はんだ)し測定。
- 定常発熱になるまで通電。周囲・風速・実装パッド寸法は記録
- 測定した端子温度がデータシートの定格端子部温度以下であれば、その点の電力は許容。超える場合はその端子部温度での定格電力比を定格電力に掛ける。
例)端子部温度140℃の場合、下記より定格電力比50%のため定格電力0.1Wの抵抗は0.05Wまでが定格電力となる

定格電圧
定格周囲温度または端子部温度にて、連続して印加できる直流電圧または交流電圧(商用電源周波数の実効値)の最大値
以下の計算式で算出することが出来る。
※ただし最高使用電圧は超えないこと、下記で求めた定格電圧が最高使用電圧以下の場合はこちらの定格電圧を採用。下記で求めた定格電圧が最高使用電圧以上の場合は最高使用電圧を採用すること。
※抵抗値は公称抵抗値で計算すること。誤差は含めない
\(\ Vr=\sqrt{Pr×R}\)
※Vr・・・抵抗の定格電圧
※Pr・・・抵抗の定格電力
※R・・・抵抗の公称抵抗値
最高使用電圧
構造・絶縁距離・膜面積など素子の電圧耐性側の限界で決まる“頭打ち”の値。抵抗値が高くて定格電圧の計算結果が大きくなってもこの最高使用電圧を超えて連続印加してはいけない。
例)最高使用電圧が150Vの場合、定格電圧の計算結果が50Vの場合は定格電圧50Vが使用してもよい最大電圧とする。定格電圧の計算結果が300Vの場合、最高使用電圧150Vが使用してもよい最大電圧とする。
臨界抵抗値
最高使用電圧を超えることなく定格電力を印加できる最大の公称抵抗値。この臨海抵抗値以下の抵抗の場合は
定格電圧を使用できる最大電圧とし、臨界抵抗値以上の抵抗の場合は最高使用電圧を使用できる最大電圧とする。
定格電流(0Ω抵抗(ジャンパ抵抗の時のみ))
抵抗の定格電流は『0Ω抵抗(ジャンパ抵抗)』の場合のみ参照します。通常抵抗の定格は定格電力にて判断しますが、
『0Ω抵抗(ジャンパ抵抗)』の場合は電力の公式P=VI=(I×R)×Iから分かるように抵抗R=0Ωだと損失Pは計算上0Wになるので判断することが出来なくなります。そこで、『0Ω抵抗(ジャンパ抵抗)』の場合は定格電流を設計の判断基準としましょう。
ワンパルス限界電力
雷サージや静電気など、定格電力を超える電力が短い時間で印加された場合にどれだけの電力耐えることが出来るかの特性グラフです。下記の記事を参考に想定パルスがワンパルス限界電力未満であることを確認しましょう。
※印加可能な電圧の上限は最高過負荷電圧になります。
※パルスを連続して印加する場合の耐性はお問い合わせください。
※データは参考値ですので、ご使用の際は必ず実機での確認をしてください。

最高過負荷電圧
過負荷試験(5~60秒間など)で印加可能な電圧の最大値。主に信頼性・受入検査・品質保証用途で確認する値。
電気的特性
公称抵抗値
抵抗器がその抵抗値を持つように設計され、通常、抵抗器の上に表示される理想の抵抗値。
設計時はこの交渉抵抗値に抵抗値許容差(製造バラつき)と抵抗温度係数(温度バラつき)を加味した抵抗値で計算します。
抵抗値許容差
抵抗値許容差は、抵抗器の製造バラつきによる定格温度における初期値のばらつき範囲を規定したものです。
これは抵抗温度係数による温度バラつきとは別のものになりますので設計時はこの抵抗値許容差と温度バラつきを加算した誤差が抵抗の総合的な誤差となります。下記のように許容差の精度ごとに記号分けされていたりします。
使用する回路によって精度の高い抵抗を選ぶようにしましょう。

抵抗温度係数
温度変化による抵抗値の変化の割合のこと。単位はppm/℃\(\ (\ 10^{-6}/K)\)
ある温度から任意の温度に変化した際の抵抗値の変化は以下で表されます。
R=Ra{1+αt(T – Ta)}
※R:任意温度での抵抗値
※Ra:基準温度での抵抗値
※αt:抵抗温度係数
※T:任意温度
※Ta:基準温度
例)抵抗値Ra=10kΩ、抵抗温度係数αt=±50ppm/℃、基準温度Ta=25℃、任意温度T=75℃の場合、
R=10000×{1+0.00005×(75-25)}=10000×1.0025=10025=10.025kΩとなる。
まとめ
本記事では抵抗のデータシートに記載されている用語についての解説と・各種パラメータを利用した設計計算方法について解説させていただきました。上記のパラメータは抵抗の設計時に確認すべきパラメータになりますので、ぜひ設計にお役立てください。
