サージ保護デバイス(バリスタ・アレスタ・isoMOV)の設計方法について

🧙🏾‍♂️ 承知しました!
サージ保護デバイスの設計手順は、過電圧・雷・スイッチングなどによって発生する高電圧パルスから機器や部品を守るために非常に重要です。特にXコンデンサの前段や電源ラインに使う場合は、定格電圧・応答速度・クランプ電圧・エネルギー耐性などを正確に設計する必要があります。

サージ保護デバイスは回路のGNDに接続する。


目次

✅ サージ保護デバイス設計手順(全体像)

graph TD
A[① サージ源の特定] --> B[② サージ条件の設定]
B --> C[③ デバイス選定のための仕様決定]
C --> D[④ デバイスの選定と評価]
D --> E[⑤ 配置設計と安全マージン設計]
E --> F[⑥ 耐久評価と規格適合試験]

🔷 STEP ①:サージ源の特定と分類

サージタイプ発生源備考
雷サージ(直撃・誘導)落雷、建物・電柱などを経由数kV~数十kV、数μs程度
スイッチングサージモーター・リレー・照明切替時数百V~数kV、繰返し発生
静電気放電(ESD)人体・金属接触など数kV、数ns、ESD専用対策が必要
ノイズ/高周波電源線や他機器から伝導・放射高周波対策(フィルタ)が主

🔷 STEP ②:サージ条件の設定(IEC 61000-4-5など)

項目設計条件例
最大サージ電圧例:6kV(1.2/50μs 波形)
最大サージ電流例:3kA(8/20μs 波形)
動作電圧(ライン)例:AC 100V → ピークで約141V
クランプ電圧目標例:Xコンデンサの定格以下(例:400V未満)

🔷 STEP ③:仕様決定(バリスタなど)

📐 必要なパラメータ

項目内容例備考
最大定格電圧電源のピーク電圧以上AC100Vなら**≥150V RMS**
クランプ電圧保護対象(Xコン、制御ICなど)の最大耐圧以下例:X2コンは275V AC → 400V未満
サージエネルギー1回または繰返しで吸収できるエネルギーJ(ジュール)単位
応答速度数ns~数μsESDならns、雷はμsでOK

🔷 STEP ④:デバイス選定(バリスタ/TVS/アレスタ)

✅ 選定手順(例:AC100Vライン)

バリスタ(MOV)の選定例:

ステップ内容
使用電圧:AC100Vピーク ≒ 141V
定格電圧選定MOV定格:230V~250V(AC RMSで)
クランプ電圧≦ 400V 程度
サージ電流≥ 3kA(IECレベル)
エネルギー例えば 100J以上/パルス対応可能回数 100回以上

🔧 メーカー:EPCOS, Littelfuse, TDK, Bourns など


🔷 STEP ⑤:配置と保護回路設計

ポイント設計指針
保護対象の前段に配置サージ電流を先に吸収・分散させる
AC-L〜AC-N間、L-G、N-G間すべてに配置フル保護構成(共通モード/差動モード両対応)
ヒューズ・サーマルカットとの併用MOV短絡時の安全遮断のため
PCBトレース幅大電流対応(例:3kA → 太いトレース+短距離)
放熱スペース確保高エネルギー処理時に重要

🔷 STEP ⑥:評価・試験・規格対応

試験項目使用規格例
サージイミュニティ試験IEC 61000-4-5(6kV/3kAなど)
耐圧試験製品カテゴリに応じて
絶縁耐性製品内部で漏洩・放電しないか確認
安全規格試験UL、CSA、ENEC など

✅ 代表的な保護デバイスの使い分け

デバイス適用サージクランプ精度主な用途
バリスタ(MOV)雷・スイッチングAC電源の一次保護(X/Yコンと併用)
TVSダイオード静電気・短時間サージDCライン、信号ラインなど高速応答
ガスアレスタ高エネルギー雷◯(高耐量)通信線・屋外機器・重電機器など
サージプロテクタモジュール複合サージ分電盤・三相電源用・工場用

✅ まとめ:設計チェックリスト

設計項目例または注意点
動作電圧AC RMSよりマージンを持つ
クランプ電圧保護対象の定格電圧以下で抑える
サージ耐量IEC 61000-4-5に準拠(例:6kV/3kA)
エネルギー吸収能力使用環境の最大サージJに十分な余裕を持つ
安全遮断機構MOV短絡時にヒューズで遮断

🧙🏾‍♂️ ご希望があれば、**用途別おすすめ保護デバイス型番リスト(Littelfuse, EPCOS, Bournsなど)**や
AC100V・AC200V向けの具体的な設計例も提供できます。

👉 どの電圧のラインに、どの程度のサージ(kV, A, パルス幅など)を想定しているかを教えていただければ、最適な部品提案もできます!
ご使用予定のシステム条件はお分かりでしょうか?

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