目次
動作波形
① ツェナーダイオードの電流変化
ツェナーダイオードは、逆方向電圧を印加した際に
ツェナー降伏電圧(Vz)付近から急激に電流が増加する特性を持ちます。
ただし実際のI-V特性は理想的な垂直特性ではなく、
- 降伏電圧の手前から微小なリーク電流が流れ始める
- 降伏点近傍では電流が連続的に増加する
- 指定されたテスト電流(IzT)において公称Vzが規定される
という挙動になります。

重要なポイント
- データシートに記載される「Vz」は 特定の試験電流(IzT)で規定された電圧
- その電流より小さい領域では電圧は規定値より低い
- その電流より大きいとダイナミック抵抗(Zz)により電圧は変動する
つまり、下記の理解が正確です。
「Vzに達していないと電流が流れない」のではなく、
微小電流 → 降伏領域 → 規定電流域へと連続的に遷移する
降伏電圧の違いによる特性差
ツェナー電圧が低い(約5V以下)場合:
- ツェナー効果(量子トンネル効果)が支配的
- 立ち上がりが比較的緩やか
- 温度係数は負側
ツェナー電圧が高い(約6V以上)場合:
- アバランシェ効果が支配的
- 立ち上がりが比較的急峻
- 温度係数は正側
※約5.6V付近では両効果が打ち消し合い、温度係数がほぼゼロになる。
② ツェナーダイオードの暗電流(リーク電流)
ツェナーダイオードが降伏領域に達していない逆方向電圧でも、 微小な逆方向リーク電流(IR)が流れます。
この値はデータシートに下記のように記載されます。
- Reverse Leakage Current(IR)
- Reverse Current
例:VR = 1V時 IR ≤ 数μA など
設計上の注意:
- 高インピーダンス回路では誤差要因になる
- 高温時に増加する
- 微小信号回路では無視できない場合がある

ツェナーダイオードの特徴
① 温度特性
ツェナー電圧は温度に依存します。
- 低電圧タイプ(≤5V):負の温度係数
- 高電圧タイプ(≥6V):正の温度係数
- 約5.6V:温度係数が最小
そのため、
温度安定性が重要な用途では
5.6V付近のツェナーを使用することが多いです。
② 電流変動に対する電圧変動(動的抵抗)
ツェナーダイオードは理想電圧源ではありません。
降伏領域では「動的抵抗(Zz)」が存在し、
[ΔV = Zz × ΔI]
の関係で電圧が変動します。
つまり、
- 電流が変わると出力電圧も変わる
- 負荷変動に弱い
- 精密基準用途には向かない
そのため高精度用途では:
- リファレンスIC
- バンドギャップリファレンス
が使用されます。