抵抗器の種類と特徴を解説|用途・条件別の選び方とおすすめ

エンジニアA君

抵抗の種類が多くてどれを使えばいいのか分かりません…

ろじペン

抵抗の種類はたくさんあるけど、どの抵抗にも長所や短所があるよ!
使いどころに応じて、適切な種類の抵抗を選べるように、解説するね!

この記事のポイント!

抵抗は『電気的特性・定格』、『精度』、『サージ耐性』、『環境信頼性』、『実装性』、『コスト』などの要素に種類ごとに強みや弱みがあるため、
用途ごとに必要な要素を満たしている種類の抵抗を選定するようにしましょう。

目次

抵抗の種類と特徴

まず初めに各種類ごとの特徴の比較表を示します。あくまで評価は「その抵抗の一般的な傾向」であり、特定製品の性能を保証するものではありません。同じ抵抗でも「耐サージ品」「高精度品」「高電力品」などで性能が大きく変わります。評価は以下の段階で行っております。

  • ◎◎:特に優れる
  • :その特性を特に重視する用途に適する
  • :一般的な用途で十分使用できる
  • :製品によっては使用できるが注意が必要
  • ×:基本的には不得意
抵抗の種類精度TCR電力耐圧パルス周波数価格サイズ耐環境性
ソリッド抵抗××
カーボン抵抗
金属皮膜抵抗
金属酸化物皮膜抵抗
メタルグレーズ抵抗○~◎○~◎
金属板抵抗○~◎
巻線抵抗××
セメント抵抗×~△×
金属クラッド抵抗△~○◎◎×~△×
ホーロー抵抗△~○×~△×
ヒューズ抵抗器△~○△~○
温度ヒューズ内蔵抵抗×~△
ネットワーク抵抗△~○○~◎◎◎

①ソリッド抵抗

ソリッド抵抗は炭素粉末と非導電性材料(樹脂等)を混合し、その混合物自体を抵抗体として成型した抵抗器です。
炭素粉末と絶縁性材料の比率により抵抗値を調整します。

メリット
  • パルス・サージ・瞬間的な高エネルギーに強い
  • 高電圧用途に対応できる製品がある
  • 機械的に丈夫
  • 高周波において巻線抵抗器ほど大きなインダクタンスを持ちにくい
  • 高エネルギー用途に対して小型化できる場合がある
  • 比較的広い抵抗値範囲を持つ製品がある
デメリット
  • 抵抗値の精度が低い
  • 温度係数(TCR)が大きいため、温度による抵抗値変化が大きい
  • 経年劣化による抵抗値変化が比較的大きい
  • 湿度の影響を受けやすい
  • 印加電圧によって抵抗値が変化しやすい
  • 電流ノイズが大きい
  • 一般用途ではコスト・性能面で優位性が小さい

②炭素被膜抵抗(カーボン抵抗)

炭素被膜抵抗はセラミックなどの絶縁性の円筒コアの表面に炭素膜を形成した抵抗器です。
抵抗値は炭素膜の厚さ・組成などに加え、表面にらせん状の溝を入れて電流経路の長さを調整することで設定できます。

メリット
  • 比較的安価(金属皮膜抵抗より安価)
  • 比較的広い抵抗値範囲を実現できる
  • 高周波では巻線抵抗より寄生インダクタンスの問題が小さい
デメリット
  • 金属膜抵抗より精度が低い
  • 温度による抵抗値変化が金属皮膜抵抗より大きい
  • 長期安定性が金属皮膜抵抗に劣る
  • 電流ノイズが金属皮膜より大きい

③金属被膜抵抗

金属皮膜抵抗はセラミックなどの絶縁性の円筒コアの表面にNi-Crなどの金属皮膜を形成した抵抗器です。
抵抗値は金属皮膜の厚さ・組成などに加え、表面にらせん状の溝を入れて電流経路の長さを調整することで設定できます。

メリット
  • 高精度
  • 温度変化による抵抗値変化が小さい
  • 長期安定性に優れる
  • 電流ノイズが小さい
  • 比較的広い抵抗値範囲
  • 小型化しやすい
デメリット
  • カーボン抵抗より高価
  • 高電力用途には向かない製品が多い
  • 非常に大きなパルス・サージ・瞬間的な高エネルギーに弱い
  • 高周波用途では皮膜形状や端子構造による寄生要素を考慮する必要がある

④酸化金属被膜抵抗

酸化金属皮膜抵抗はセラミックなどの絶縁性の円筒コアの表面に酸化スズ(SnO₂)などの金属酸化物膜を形成した抵抗器です。
抵抗値は酸化金属皮膜の厚さ・組成などに加え、表面にらせん状の溝を入れて電流経路の長さを調整することで設定できます。

メリット
  • 耐熱性に優れるため、高温環境に比較的強い
  • 金属皮膜抵抗より高電力用途に向く製品がある
  • 燃えにくい
  • 過負荷や高電圧に強い製品がある
  • サージ・パルスに強い製品がある
デメリット
  • 精密金属皮膜抵抗ほどの精度を得にくい
  • 表面温度が高くなりやすいため、周辺への熱影響に注意が必要
  • 高電力タイプではサイズが大きくなりやすい
  • 高周波用途では皮膜形状や端子構造による寄生要素を考慮する必要がある

⑤メタルグレーズ抵抗(厚膜抵抗)

メタルグレーズ抵抗は金属・金属酸化物+ガラス系材料をペースト化し、アルミナ等の基板上に印刷して焼結した抵抗器になります。

メリット
  • 低コスト
  • 小型化しやすいためチップ抵抗として広く普及している
  • 抵抗値の範囲が広い、高抵抗値を実現しやすい
  • 高電圧、高パルスに強い製品がある
デメリット
  • 薄膜抵抗と比べ、精度・TCR・ノイズ特性・長期安定性に劣る場合がある

⑥金属板抵抗

金属板抵抗はNi-Cr系やCu-Mn系などの合金そのものを蛇腹状に打ち抜いてセラミックケースにセメント樹脂で封止した抵抗器になります。

メリット
  • 非常に低い抵抗値を実現できる
  • 大電流、大電力に対応しやすい
  • TCRを小さくできる
  • 寄生インダクタンスが小さい
デメリット
  • 抵抗値が非常に小さいため、PCB配線抵抗の影響を受けやすい

⑦巻線抵抗

巻線抵抗はニクロムなどの抵抗線をセラミックなどの絶縁コアに巻き付けた抵抗器です。

メリット
  • 大電流、大電力に対応しやすい
  • 高温に強い
  • 長期安定性に優れる
  • TCRが小さい製品もある
  • 高精度タイプも存在する
  • パルス用途に適正多製品もある
デメリット
  • 巻線構造のため寄生インダクタンスが大きくなりやすい
  • 大電力タイプは大型化しやすい
  • 一般的なチップ抵抗より高価

⑧セメント抵抗

巻線抵抗などの抵抗体をセラミック系ケースに入れ、セメント系材料で覆った構造です。

メリット
  • 大電力用途に適している
  • 高温に耐えやすく、難燃性を確保しやすい
  • 機械的に丈夫
  • 絶縁性に優れている
デメリット
  • 大型
  • 重量が大きい
  • 発熱が大きいため、周辺部品への熱影響が大きい
  • 巻線構造のため、寄生インダクタンスが大きくなりやすい

⑨メタルクラッド抵抗

巻線抵抗などの抵抗体をアルミなどの金属ケースに収め、ケースをヒートシンクとして利用する構造の抵抗器です。

メリット
  • 非常に高い放熱性能を実現しやすい
  • 高電力用途に適している
  • 高い機械的強度
デメリット
  • 大型
  • 重量が大きい
  • 高価になりやすい
  • 巻線構造のため、寄生インダクタンスが大きくなりやすい
  • 発熱が大きいため、周辺部品への熱影響が大きい

⑩ホーロー抵抗

抵抗線をセラミックコアなどに巻き付け、その表面をガラス質のエナメルで覆った巻線抵抗です。

メリット
  • 高温に強い
  • 耐熱性、難燃性に優れる
  • 湿度に強い
  • 高い機械的耐久度
  • 高電力用途に適している
デメリット
  • 大型
  • 重量が大きい
  • 高価になりやすい
  • 巻線構造のため、寄生インダクタンスが大きくなりやすい
  • 発熱が大きいため、周辺部品への熱影響が大きい

⑪ヒューズ抵抗

通常時は普通の抵抗器として働き、異常な過電流・過電力が発生すると抵抗体が発熱し、抵抗体が溶断してオープン状態になる抵抗器です。

メリット
  • 抵抗とヒューズの機能を兼ねられるため部品点数やPCB面積を削減できる場合がある
デメリット
  • ヒューズほど高速・明確な遮断特性を持つとは限らない

⑫ヒューズ付き抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)

抵抗器と温度ヒューズを一体化した部品です。主に、突入電流を防止するための抵抗として使用されます。通常、電源ON時に流れる突入電流を抵抗にて抑制し、突入電流が収まった後にスイッチング素子をONにすることで、別経路にバイパスさせるため、抵抗には突入電流分の発熱のみとなる。ところが、スイッチング素子が故障してしまった場合は「突入電流には耐えられるが、連続的に電力を消費することは想定していない抵抗」に長時間電流が流れ異常発熱、周辺部品の熱損傷、最悪の場合には発煙・発火につながる可能性があります。
そこで、抵抗が異常に発熱したら、温度ヒューズを溶断させて回路そのものを遮断するという安全機能を追加したものが温度ヒューズ付き抵抗器になります。

オススメ記事

突入電流防止回路については下記の記事で紹介しておりますので参考にしてください

メリット
  • 抵抗とヒューズの機能を兼ねられるため部品点数やPCB面積を削減できる場合がある
  • 突入電流制限と過電流保護を分離できる
  • ヒューズ部分はヒューズとして明確な遮断特性を持たせやすい
デメリット
  • 部品間の熱干渉を考慮する必要がある
  • コストが増える場合がある

⑬ネットワーク抵抗

ネットワーク抵抗は複数の抵抗を1つのパッケージにまとめた部品です。
独立型や共通端子型など様々な抵抗の接続方法があります。

メリット
  • 部品点数の削減、PCB面積の削減、実装工数の削減、部品管理の簡略化
  • 部品間の抵抗値ばらつきを抑えることが出来る。
デメリット
  • 1パッケージに複数抵抗が入るため、1個の故障で複数回路に影響する可能性がある
  • 個別交換ができない
  • 抵抗ごとの許容電力に注意が必要
  • 共通端子型では端子電流の合計に注意が必要
  • パッケージ全体の発熱を考慮する必要がある
  • ピン間の電圧・絶縁耐圧を確認する必要がある

用途別の推奨抵抗一覧

次に用途別に推奨候補の抵抗を一覧にしました。こちらもあくまで「その抵抗の一般的な傾向」であり、特定製品の性能を保証するものではありません

用途・回路推奨候補選定理由注意点
一般的な抵抗厚膜安価・小型・入手性が良い精度・TCRを確認
LED電流制限厚膜安価・小型・一般用途に十分発熱、許容電力
プルアップ・プルダウン厚膜小型・安価高精度なら薄膜
分圧回路厚膜 / 金属皮膜一般用途なら厚膜、精度重視なら金属膜TCR・許容差
オペアンプのゲイン設定金属皮膜 / 薄膜低ノイズ・高精度TCR・抵抗比
基準電圧回路薄膜高精度・低TCRコスト
センサー信号処理薄膜高精度・低ノイズ・低TCR抵抗比も重要
電流検出金属板低抵抗・低TCR・大電流Kelvin配線
大電流シャント金属板mΩ領域に適する発熱・配線抵抗
電源のブリーダ抵抗金属酸化物 / 巻線電力・耐圧に強い製品がある発熱・耐圧
DCリンクコンデンサ放電巻線 / 金属酸化物高エネルギーを扱えるパルス・連続電力
コンデンサの突入電流制限巻線 / セメント / 専用パルス抵抗パルスエネルギーに強いパルス条件
突入電流防止回路巻線+セメント等大きな突入電流に耐えるバイパス失敗時の発熱
突入防止+安全保護温度ヒューズ内蔵抵抗抵抗+過熱保護温度ヒューズ特性
モータ起動巻線 / 電力抵抗大電力・パルス発熱・インダクタンス
インバータ制動抵抗金属クラッド / ホーロー/ 電力巻線高電力・放熱ヒートシンク
大電力負荷金属クラッド放熱性が高い筐体固定
高温環境金属酸化物 / ホーロー耐熱性周辺部品への熱
高電圧回路金属酸化物 / 高電圧厚膜高電圧対応製品がある最大使用電圧
サージ吸収専用パルス抵抗 / ソリッド / 金属酸化物パルス耐量パルスエネルギー
高周波回路金属膜 / 薄膜 / チップ厚膜寄生L・Cを抑えやすい周波数特性
RF回路高周波対応チップ抵抗寄生要素が小さいSパラメータ
高速デジタルチップ厚膜 / 薄膜小型・寄生要素を抑制パッケージ
大量のプルアップ抵抗抵抗ネットワーク部品点数・面積削減共通端子
基板の高密度実装チップ厚膜 / アレイ小型・自動実装電力
屋外・硫化環境耐硫化抵抗環境耐性専用品を選択
安全保護を兼ねるヒューズ抵抗器異常時に抵抗体を溶断溶断特性
抵抗過熱時の安全遮断温度ヒューズ内蔵抵抗異常発熱を検出温度ヒューズ
非常に高い電力を長時間消費金属クラッド / ホーロー放熱性・耐熱性ヒートシンク

条件別推奨抵抗一覧

最も重視する条件に対して、最適な抵抗を表としてまとめました。あくまで参考程度に使用してください

最も重視する条件第一候補第二候補
安さ厚膜カーボン皮膜
小型化厚膜チップ薄膜チップ
高精度薄膜金属皮膜
低TCR薄膜金属板
低ノイズ薄膜 / 金属皮膜巻線
大電力金属クラッド巻線
大電流金属板巻線
超低抵抗金属板電力厚膜
高電圧高電圧厚膜 / 金属酸化物専用高電圧抵抗
高温金属酸化物エナメル
パルス巻線 / 専用パルス抵抗金属酸化物
サージ専用サージ抵抗金属酸化物
高周波薄膜 / チップ厚膜金属皮膜
長期安定性薄膜金属皮膜
耐硫化耐硫化厚膜専用品
突入電流巻線 / 電力抵抗金属酸化物
突入+安全保護温度ヒューズ内蔵抵抗ヒューズ抵抗
多数の抵抗を実装ネットワーク / アレイチップ抵抗
ヒューズ機能も必要ヒューズ抵抗抵抗+ヒューズ

まとめ

エンジニアA君

抵抗にはこんなに種類があったんですね!それぞれの特徴についても
知れたので用途によって適切な抵抗を選定できそうです!

ろじペン

抵抗器は種類によって、
精度・温度特性・電力・耐圧・パルス耐量・周波数特性・耐環境性
などの得意分野が異なります。
そのため、単に抵抗値や価格だけで選ぶのではなく、
回路の用途と要求される性能を明確にし、それぞれに適した抵抗の種類を選定することが重要になることを念頭に設計しましょう!

目次