目次
①定格電圧の確認
- ダイオードのVRM(尖頭逆方向電圧)が、入力のピーク電圧より十分高いこと。
- 安全率(ディレーティング)を考えて、ピーク電圧の2倍程度のPRVが目安。
- 周波数:50Hz or 60Hz(これは整流方式やリップルに影響)
例:AC100V入力 (実効値)→ ピーク141V(= 100 × √2) → VRMは 300V(ピーク×安全率)以上推奨。
※補足
雷サージやスイッチによる開閉サージ等によって定格を超えるサージ電圧が印可される場合があります。このようなサージ電圧が印可されてもブリッジダイオードが壊れないことが必要です。そのため、選定後は実際に電源に対してサージ電圧を印可して壊れないことを確かめる必要があります。
➁定格電流(平均整流出力電流)の確認
ブリッジダイオードの後段にPFC(力率改善)回路を接続する場合としない場合で定格電流の計算方法が異なります。
それぞれのケースでの定格電流の計算方法を以下に記載致します。
PFC(力率改善)回路を後段に接続しない場合
『ブリッジダイオードに流れる電流の平均値』は『入力電解コンデンサに流れる電流の平均値(または、入力AC電流の平均値)』と等しくなります。
- 負荷に流れる平均電流を見積もる。モーター・LED・リレーなどが対象。
- マージンを取って、約1.5〜2倍の電流定格のブリッジを選ぶ。
例:負荷が1Aなら、2Aまたは3A定格のブリッジを選定。
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④突入電流(IFSM)への耐性をチェック
- 電源ON時のラッシュ電流(特に電解コンデンサありの場合)があるかを確認。
- 大容量コンデンサを使う場合、**IFSM(サージ順電流)**が重要。
- IFSMは、通常定格電流の10倍~30倍程度が多い。
例:コンデンサにより20A以上の突入が予想されるなら、30A以上のIFSMが必要。
⑤順方向電圧(VF)と発熱・電力損失を見積もる
- VF(通常0.7〜1.1V)× 電流 × 2(ブリッジ通過の2個)= 損失W数
- 発熱が多くなるので、放熱対策(放熱板、スルーホールなど)も検討。
例:VF = 1V、I = 2A → 1V × 2A × 2 = 4W の損失
⑥放熱と熱抵抗の確認
- 熱抵抗(RθJA または RθJC)を使って、内部温度上昇を計算
- 放熱が不十分なら定格内でも過熱・破壊リスク
Junction温度 = 周囲温度 + 消費電力 × 熱抵抗
⑦使用環境(動作温度・保存温度)を確認
- 温度範囲が-40〜+125℃など、回路が使われる環境に合っているかを確認
⑧サイズと実装形式(スルーホールor表面実装)
- 基板スペースに合った形状(例:DIP、SMDなど)
- リード型(MB6S、KBPCなど)やSMD(ABS10、MB10Fなど)
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