降圧トランスの二次側電圧の計算方法

今回は例として富士電機テクニカのCU4シリーズ(単相)のCU403-A2002を例に説明致します。

目次

STEP1.降圧トランスと電源電圧の仕様を確認する

電源1次側に投入する定格電圧とその時の定格2次側電圧を確認する

今回のトランスは結線する端子によって2次側の出力電圧が変動する仕様となっている。
※220 V入力に200 Vタップを結線すると二次が過電圧(約26 → 28 V)になります。
今回は200V-0の端子に1次側は接続、26V-0の端子に2次側は接続するとします。

系統一次側結線二次側結線出力電圧(定格負荷時)備考
AC200 V系で使用0–200 V端子0–24 V端子約24 V一般的な使い方
AC200 V系で余裕を持たせたい(配線電圧降下補償)0–200 V端子0–26 V端子約26 V(負荷時24〜25 V)整流・コイル負荷向け
AC220 V系で使用0–220 V端子0–24 V端子約24 V名板どおりの標準結線
AC220 V系で余裕を持たせたい0–220 V端子0–26 V端子約26 V(負荷時24〜25 V)高負荷時の補正用

電圧変動率についてはトランスに負荷がかかっていない状態(無負荷時)と、負荷がかかっている状態(全負荷時)で、二次側の出力電圧がどれだけ変動するかを、無負荷時の電圧を基準に百分率で表したものです。今回はデータシートに記載がないので仮定の15%を使用する。
(可能であればメーカに仕様書を頂くこと)

電源仕様
  • 電源電圧V1=AC200V
  • 電源電圧変動率=±10%
トランス仕様(CU403-A2002)
  • 無負荷時二次側電圧V2=26V(2次側負荷電流0Aの時)
  • 電圧変動率%VR=15%(メーカに確認する、今回は仮定)
  • トランスバラつき=±5%(メーカに確認する、今回は仮定)

トランス2次側の最大電圧と最小電圧の計算

V2max=26×((200×1.1)/200)×1.05=30.3V

V2min=(26×0.85)×((200×0.9)/200)×0.95=18.89V

任意の負荷時のトランス2次側電圧の計算

任意の負荷電流時のトランス二次側電圧を求めたい場合は無負荷時と定格時(求めたい負荷電流より大きい値が分かればOK)の2点間で1次関数を求めることで任意の負荷電流でのトランス二次側電圧を概算できます。

\(\ Y=(\frac{(Y1-Y2)}{(X1-X2)})×(X-X1)+Y1\)
※Y:任意の負荷電流時のトランス2次側電圧
※Y1:無負荷時のトランス2次側電圧
※Y2:定格負荷時のトランス二次側電圧(今回求めたい負荷電流より大きい値が分かればOK)
※X:2次側電圧を求めたい負荷電流値
※X1:無負荷電流値(=0A)
※X2:定格負荷電流値(今回求めたい負荷電流より大きい値が分かればOK)

計算例としては以下のようになります。

計算条件
  • Y:任意の負荷電流時のトランス2次側電圧
  • 無負荷時のトランス2次側電圧Y1=30V
  • 定格負荷時のトランス二次側電圧Y2=20V
  • 2次側電圧を求めたい負荷電流値X=500mA
  • 無負荷電流値X1=0A
  • 定格負荷電流値X2=1000mA

上記条件より任意の負荷電流時(500mA)のトランス2次側電圧は

\(\ Y=(\frac{(30-20)}{(0-1)})×(0.5-0)+30=-5+30=25V\)

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