0Ω抵抗とは?用途・使い方と回路設計を解説|ジャンパ・設定変更・評価に活用

エンジニアA君

0Ω抵抗というものがあるって聞いたんですけど、
抵抗なのに0Ωなんですか?どのように使えばいいんでしょうか?

ろじペン

0Ω抵抗は一般的な抵抗器の使い方とは違う用途で使われるよ!
使い方や実際の用途での回路設計方法を説明するね!

この記事のポイント!
  • 0Ω抵抗はスイッチのような使われ方や回路の切り替え、ジャンパ線のような用途で使用される
  • 厳密には0.001Ωなどの微小な抵抗値を持っており、定格電流容量もあるため、定格以内で設計すること。
目次

0Ω抵抗とは?

0Ω抵抗とは抵抗値を0 Ωとして扱うジャンパ用部品の呼称になります。メーカーも実際に0Ω部品を『Jumper』として規定しています。つまり、「0 Ω抵抗=実質的な電気的短絡を、抵抗器と同じ実装形態で実現する部品」と考えるとよいでしょう。

0Ω抵抗を使用して設計する際に重要なポイントになりますが、0Ωと称しているが実際は微小な抵抗値があります。
データシートにはジャンパ最大抵抗として50mΩなどが記載されています。
2Aの電流が流れた場合、電圧降下はV=IR=2×0.05=0.1V、消費電力はP=I2R=22×0.05=0.20WP=I^2R=2^2×0.05=0.20Wとなります。
したがって『0Ω抵抗だから設計計算が不要』ではなく、最大抵抗値による電圧降下・発熱も設計対象になります。

0Ω抵抗の用途について

エンジニアA君

なぜ普通のジャンパ線ではなく0Ω抵抗をわざわざ使うんでしょうか?

ろじペン

0Ω抵抗を使用する主な理由としては以下の用途が挙げられるよ!

用途①:ジャンパ用途

最も基本的な使い方になります。配線Aと配線Bの信号線を交差させたい場合、片方を0Ω抵抗に接続し、ジャンプさせ、0Ω抵抗の下をもう片方の配線をくぐらせることが可能になります。

用途②:回路を切り替える『設定ジャンパ』

0Ω抵抗の実装・非実装により、回路のON/OFFを設定するスイッチのような用途になります。
例えば、0Ω抵抗を実装・非実装することにより、回路をアクティブにするか、無効にするかを決めることが出来ます。

回路Aと回路Bがあった場合はAで使用する場合はAの回路に0Ω抵抗を実装し、Bで使用する場合はBの回路に0Ω抵抗を実装することにより、PCBを共通化したまま、実装部品だけで仕様変更することが出来ます。

用途③:デバッグ・評価用の切り離しポイント

例えば、量産時は0Ω抵抗を実装しますが、評価時は非実装にし回路を切り離すことで、電源電流の測定や外部電源からの給電、異常箇所切り分けなどに使用できたりします。

用途④:後から抵抗値を変更できるようにする

高速信号のダンピング抵抗の抵抗値調整などで使用できます。
最初の設計では0Ω抵抗を実装し評価し、その後22Ωなど抵抗値をもう少し持った抵抗を実装し、
信号波形が良好になった抵抗を量産時には使用するなどの調整が出来るようになります。

また、EMI対策用にIC→コネクタ間に0Ω抵抗を実装し、EMI試験にてノイズが大きかった場合は0Ω→10Ω→22Ωなど抵抗値を変えて評価し、0 Ω抵抗を「将来変更する可能性がある部品位置」として設計することが出来ます。

用途⑤:アナログGNDとデジタルGNDの接続点を意図的に作る

目的としてはアナログ系とデジタル系の電流経路を設計上意識することになります。
実際の回路ではデジタルICが発生する大きなdi/dtがデジタルGND→アナログGNDを介してアナログICへノイズ電流が流れ、影響を及ぼすことがあるため、電流経路を意図的に設定する部品になります。

回路設計方法

次に回路設計における計算方法について解説します。0Ω抵抗の設計は用途が違っても基本的に以下の手順で設計すればよいです。

Step1:最大電流の確認

0Ω抵抗に流れる最大電流を確認し、抵抗の電流定格以内に収まっていることを確認しましょう。
今回は最大負荷電流Imax=1.2Aが0Ω抵抗に流れるとします。電流定格2Aの0Ω抵抗を使用している場合は
定格に対し、60%のディレーティングを確保しているのでOKです。次のStepに進みましょう。

Step2:0Ω抵抗の最大抵抗値を確認

次に使用する0Ω抵抗のデータシートにて最大抵抗値を確認しましょう。今回は最大抵抗値Rmax=50mΩとします。

Step3:電圧降下を計算

0Ω抵抗に流れる最大電流と0Ωの最大抵抗値が分かったので抵抗に発生する電圧降下を計算しましょう。
以下式で求めることが出来ます。

計算式
VR=Imax×Rmax=1.2A×0.05Ω=0.06VV_R=I_{max}×R_{max}=1.2A×0.05Ω=0.06V

上記計算により60mVの電圧降下が発生することが分かります。

Step4:消費電力を計算

次に抵抗にて消費する電力を確認し、抵抗の発熱量が問題ないかについて確認します。
0Ω抵抗に流れる最大電流と0Ωの最大抵抗値を用いて以下式で求めることが出来ます。

計算式
PR=Imax2×Rmax=1.2A2×0.05Ω=0.072WP_R=I_{max}^2×R_{max}=1.2A^2×0.05Ω=0.072W

この消費電力が抵抗の定格電力以内であることを確認します。抵抗の定格電力は抵抗の周囲温度や端子部温度によって決まるため、負荷軽減曲線や定格端子部温度曲線の特性グラフを確認し、使用温度環境下での定格電力が上記消費電力以内であることを確認しましょう。

オススメ記事

使用温度環境下における定格電力の確認方法は以下の記事にて解説しておりますので是非ご確認ください。

これで抵抗のディレーティングとしては問題なきことを確認できたので設計完了になります。

まとめ

エンジニアA君

0Ω抵抗とは言っても微小な抵抗値を持った抵抗だから普段の抵抗の設計同様に抵抗の定格を守って設計することが重要なんですね!

ろじペン

様々な用途で使用できるけど設計における計算方法は基本的に同じだから覚えて色々な使い方が出来るようになろうね!

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