※本記事の内容はIEC 61000-4-4:2012時点での内容を参考にしており、また、正確であるとは限らないので、規格についての正確な情報は最新の規格原文 を参照してください。
試験概要
モータやリレーなどの誘導性負荷がON・OFFに切替による逆起電力を模擬した試験になります。
リレーなどの機械的スイッチのチャタリングなども想定しているため、ON(VCC)・OFF(0V)を繰り返すノイズを定期的に発生させます(シャワリングアークと言います)。

試験波形の校正について
試験波形としては間欠性のノイズが複数回にわたって印加されるため、3つの段階で試験波形を見ています。
校正により、規定通りの波形となっているかを確認しましょう。
CDN結合で実施する場合の校正準備
CDN結合にて試験を実施する場合の校正準備について説明します。以下の器具の準備をしましょう。
- EFT/Burast試験機(IEC61000-4-4準拠機)
- 高電圧アッテネータ(分圧比1000:1 or 100:1。周波数帯域400MHz以上(実務では1GHz推奨)、最大入力電圧±5kV以上)…高電圧パルスをオシロスコープが測定可能な電圧まで減衰する用途
- オシロスコープ(周波数帯域400MHz以上。分圧比1000:1 or 100:1。最大入力電圧±5kV以上)
- 50Ω同軸終端抵抗(非誘導型。周波数帯域1GHz以上。定格電圧アッテネータ出力以上であること。)
…規格通りの50Ω負荷条件を再現する用途 - 高周波同軸ケーブル(特性インピーダンス50Ω。長さ1m未満)…波形の歪み・反射を防止する用途
- グランドプレーン(試験器具が十分乗る広さ)
試験構成は以下の条件でセットアップしましょう。
- グランドプレーンは厚さ0.25mm以上の銅板やアルミニウム板もしくは0.65mm以上のその他金属板であること
- グランドプレーンの大きさは0.8m×1m以上あり、かつEUTや試験に用いる機器の外側0.1m以上まで広がること
- CDNからアッテネータまでの距離は0.1m未満であること
- 試験機やCDNはグランドプレーン上に設置する
- 試験機やCDNは保護接地すること

クランプ結合で実施する場合の校正準備
クランプ結合にて試験を実施する場合の校正準備について説明します。以下の器具の準備をしましょう。
- EFT/Burast試験機(IEC61000-4-4準拠機)
- 高電圧アッテネータ(分圧比1000:1 or 100:1。周波数帯域400MHz以上(実務では1GHz推奨)、最大入力電圧±5kV以上)…高電圧パルスをオシロスコープが測定可能な電圧まで減衰する用途
- オシロスコープ(周波数帯域400MHz以上。分圧比1000:1 or 100:1。最大入力電圧±5kV以上)
- 50Ω同軸終端抵抗(非誘導型。周波数帯域1GHz以上。定格電圧アッテネータ出力以上であること。)
…規格通りの50Ω負荷条件を再現する用途 - 高周波同軸ケーブル(特性インピーダンス50Ω。長さ1m未満)…波形の歪み・反射を防止する用途
- グランドプレーン(試験器具が十分乗る広さ)
- 容量性クランプ(IEC61000-4-4規格寸法品)
- クランプ校正用基準ケーブル(非シールド。規定長(通常1m)。)
試験構成は以下の条件でセットアップしましょう。
- グランドプレーンは厚さ0.25mm以上の銅板やアルミニウム板もしくは0.65mm以上のその他金属板であること

1パルス当たりの試験波形の規定
バーストパルスの内の1パルス当たりの試験波形の規定は以下になります。上記の校正準備実施後、オシロスコープにて以下の規定通りの波形となっているかを観測し、記録しましょう。
- 立ち上がり時間tr(パルスピーク電圧の10%→90%までの時間)=5ns±30%
- パルス幅to(パルスピーク電圧の立ち上がり時50%→立下り時50%までの時間)=50ns±30%
- ピーク電圧1㎸±20%
- ノイズの極性(+/-)で上記の規定以内かを波形取得すること

1バースト当たりの試験波形の規定
1バースト当たりの試験波形の規定は以下になります。上記の校正準備実施後、オシロスコープにて以下の規定通りの波形となっているかを観測し、記録しましょう。
- パルス周期(1バースト内のパルスの周波数)=5kHzや100kHz
- 1バースト当たりのノイズ印加回数=75回
- パルス幅(1バーストの打ち始めから打ち終わりまでの時間)=15ms(パルス周期5kHz時)or0.75ms(パルス周期100kHz時)
- ノイズの極性(+/-)で上記の規定以内かを波形取得すること
※パルス周期100kHzの方が実際のイミュニティ現象に近い

複数バースト間の試験波形の規定
複数バースト間での試験波形の規定は以下になります。上記の校正準備実施後、オシロスコープにて以下の規定通りの波形となっているかを観測し、記録しましょう。
- バースト周期(1つ目のバーストノイズの打ち始めから次のバーストノイズの打ち始めまでの時間)=300ms
- ノイズの極性(+/-)で上記の規定以内かを波形取得すること

試験構成
バースト試験ではCDN結合とクランプ結合の大きく2つの結合パターンで試験をすることが出来ます。
また、それぞれの結合方法でも被試験機(EUT)の種類が卓上型か床置き型かによって試験構成が変わります。
※高周波のノイズを印加するため、試験配置によって試験結果が変わりやすいため、
規格書をしっかり読んで試験構成の写真などを保存するようにしましょう。
卓上型と床置き型の判断方法について
試験セットアップを行う際に、機器の種類によって、機器間の距離や絶縁台高さなどの条件が変わりますので、
自身が試験を行う機器がどちらに該当するか確認しておきましょう。判断基準としてはその機器の使用環境で確認します。
卓上型機器の判断基準
以下の項目に1つでも該当した場合、卓上型と判断します。
- 通常使用時に 机・作業台・作業ベンチ・棚の上に設置して使用する
- 床に直接設置して使用することを想定していない
- 建物(床・壁・天井)への 固定設置を前提としていない
- 工事を伴わず、ユーザーが 容易に移動・設置変更できる
- 機器単体で使用され、ラックや筐体への 恒久組込みを前提としていない
- 使用中に 床との電気的・機械的接触を必要としない
- 製品仕様書・取扱説明書に「卓上」「bench-top」「desktop」等の記載がある
- 試験時に HCP(水平結合板)上へ絶縁台を介して設置することで通常使用状態を正しく再現できる
- 関連製品規格(例:計測器・IT機器系)において固定設備(fixed equipment)として分類されていない
床置き型機器の判断基準
- 通常使用時に 床・基礎・架台・建築構造物に設置して使用する
- 天井埋込、天吊り、壁固定など 建築設備として使用される
- 設置に 工事・据付作業を伴うことが前提
- 使用中にユーザーが 容易に移動できない
- 大型・重量物であり、机上設置が 非現実的
- 床置きラック、キャビネット、制御盤に 恒久的に組み込まれる
- 製品仕様書・施工説明書に「床置き」「壁掛け」「天井設置」「fixed」等の記載がある
- IEC 60335、IEC 60204、IEC 61439 等で固定設備・建築設備扱いとされる製品である
- 試験の都合で机上に置けても、実使用状態を机上で再現できない
- 試験条件が判断困難な場合、より厳しい条件(床置き)を選択することが妥当
CDN結合で実施する場合(電源線に印加する場合)
CDNは(Coupling Decoupling Network)の略になり、EUT(被試験器)の電源線とバースト試験機からのノイズの印加線をCDNで結合してからEUT(被試験機)に接続することにより、EUTに対してノイズを結合させつつ、
周辺機器へノイズが流れていかないように出来るものになります。

このCDNの特徴はノイズをL・N・PE(アース)に同方向に印加することが出来ますので例として単相2線の場合、以下の印加パータンで試験が可能です。(※規格には印加パターンの指定はありませんが、全パターンで印加するとノーマルモード・コモンモードどちらに対しても試験を実施したことになります。)
| 印加パターン | L | N | PE |
| パターン① | 印加 | ||
| パターン➁ | 印加 | ||
| パターン③ | 印加 | ||
| パターン④ | 印加 | 印加 | |
| パターン⑤ | 印加 | 印加 | |
| パターン⑥ | 印加 | 印加 | |
| パターン⑦ | 印加 | 印加 | 印加 |
試験構成は以下の条件でセットアップしましょう。
- グランドプレーンは厚さ0.25mm以上の銅板やアルミニウム板もしくは0.65mm以上のその他金属板であること
- グランドプレーンの大きさは0.8m×1m以上あり、かつEUTや試験に用いる機器の外側0.1m以上まで広がること
- CDNからEUT(被試験機)までの距離を床置き機器は1.0±0.1m、卓上型機器は0.5+0.1m空ける。
- EUT(被試験機)やAE(対抗機)は床置き機器の場合0.1±0.05m、卓上型機器の場合0.1±0.01mの絶縁台の上に載せる
- EUT(被試験機)とAE(対抗機)の距離は0.5m以上空ける
- 試験機やCDNはグランドプレーン上に設置する
- EUT(被試験機)やAE(対抗機)は保護接地しないこと。
- 試験機やCDNは保護接地すること
クランプ結合とは(信号線に印加する場合)
クランプ結合は主に信号線へノイズを印加したい場合に使用されます。
バースト試験に用いるクランプは容量性クランプと呼ばれ、EUT(被試験機)の信号線をクランプで挟み込み、
バースト試験機からのノイズの印加線をクランプに接続することで、ノイズを容量性結合させ、信号線に印加します。
クランプ結合の場合、信号線全体をクランプで挟んでまとめて印加されるのでコモンモードノイズに対する耐性への評価になります。
試験構成は以下の条件でセットアップしましょう。
- グランドプレーンは厚さ0.25mm以上の銅板やアルミニウム板もしくは0.65mm以上のその他金属板であること
- グランドプレーンの大きさは0.8m×1m以上あり、かつEUTや試験に用いる機器の外側0.1m以上まで広がること
- クランプからEUT(被試験機)までの距離は床置き機器は1.0±0.1m、卓上型機器は0.5+0.1m空ける。
- クランプからAE(対抗機)までの距離は0.5m以上空ける。
- クランプから試験機までの距離は0.5m以上空ける。
- EUT(被試験機)やAE(対抗機)は床置き機器の場合0.1±0.05m、卓上型機器の場合0.1±0.01mの絶縁台の上に載せる
- 試験機やクランプはグランドプレーン上に設置する
- EUT(被試験機)やAE(対抗機)は保護接地しないこと。
- 試験機は保護接地すること(クランプは接地しないこと。設置するとグランドプレーン→GNDに容量結合を起こし、ノイズが信号線に乗りにくくなるため、)
試験方法
最低1分間印加(パルス周期が300msなのでバーストパルスを15000回打ち込む計算)します。
判定条件
ノイズ印加中・印加直後のEUT(被試験機)の状態にて以下の3段階の判定ランクを設けております。
| 判定 | 規格上の意味 |
|---|---|
| A | 機能低下・誤動作なし |
| B | 一時的な機能低下・誤動作ありただし自動復帰する |
| C | 機能低下・誤動作があり手動操作や電源再投入が必要 |
| NG | 破壊・恒久故障は則NG |
判定基準 A
ノイズ印加中・印加直後において以下の状態であれば判定基準Aとみなす。
- 動作停止なし
- 誤出力なし
- 表示異常なし
- 制御状態変化なし
判定基準 B
ノイズ印加中において以下の状態となり、印加後人の操作なしに自動的に正常復帰した場合、判定基準Bとみなす。
- 一瞬の誤動作
- 表示の乱れ
- 出力の瞬断
判定基準 C
ノイズ印加後、以下の状態が続き、手動でリセット・電源再投入・再起動操作が必要な場合は判定基準Cとみなす。
- 動作停止が継続
- 制御不能状態
判定基準 NG
以下の状態になった場合は無条件で不合格とみなします。
- 部品破壊
- 焼損
- 永久的な性能劣化
- 校正値のズレ
- EEPROM / Flash の内容破壊
まとめ
本記事ではIEC61000-4-4:バーストノイズ試験について、その概要から試験構成・試験方法について解説させていただきました。試験を行うときの参考になれば幸いです。



