電源ICのPCB設計時の各種対策10選(高周波ノイズ対策、電源安定化、熱管理、誤動作防止)

こちらの記事では電源ICのPCB設計時に考慮する点について解説しております。

こちらの記事ではT.IのTPS561201のデータシートを参考にしております。
TPS561201データシート

目次

1.VINとGNDの配線はできるだけ太くする

配線が細いと電流が流れにくく、電圧降下(電圧損失)が発生します。
また、インピーダンス(抵抗+誘導性)も増加し、ノイズの影響を受けやすくなります。
VINとGNDの配線はできるだけ太くすることで電源の安定性と信頼性が向上し、放熱性能も改善されます。

2.入力・出力コンデンサはICの近くに配置

コンデンサとICの間に距離があると、寄生インダクタンスの影響で高速スイッチング時に電圧が乱れます。
入力・出力コンデンサをICの近くに配置することで電源電圧のリップル(波形のブレ)を抑えることができ、
安定した動作が可能になります。

3.入力・出力コンデンサ付近には十分なビア(スルーホール)を設ける

ビアの数が少ないと電流が集中し、GNDや電源経路の電圧変動や加熱を引き起こす可能性があります。
入力・出力コンデンサ付近には十分なビア(スルーホール)を設けることで電流の流れを分散でき、
より安定した電源供給が実現します。

4.SWノードの配線は短く太く

スイッチングノードは高速でON/OFFするため、電磁波(EMI)を放射しやすい場所です。
配線を短く太くすることでノイズの発生源を局所化し、他の回路への干渉を防ぐことができます。

5.スイッチング電流をICの下に流さない

ICの真下にノイズが流れると、ICのGNDリファレンスが揺れ、誤動作や不安定動作を引き起こします。
スイッチング電流をICの下に流さないことで安定したIC動作とノイズ耐性を確保できます。

6.Voutからフィードバック抵抗へは別経路の配線を使用する

電流の多い出力配線から直接分岐すると、電圧の誤差やノイズの混入がフィードバックに影響します。
別経路の配線を使用することで正確な電圧制御が可能になり、出力電圧が安定します。

7.GNDピンにはKelvin接続(専用の低インピーダンス経路)を行う

Kelvin接続により、ノイズや電圧差の影響を受けにくい正確なGND基準が得られます。
フィードバックの精度が向上し、制御系の誤動作を防ぎます。

8.フィードバック経路は高電圧スイッチング配線から離す

高dv/dtのノード(SWノードなど)は誘導ノイズを生じやすく、フィードバック回路に影響を与えます。
フィードバック経路を高電圧スイッチング配線から離すことでノイズによる誤動作や制御の不安定さを防止できます。
また、可能であればグランドシールドで保護してください。

9.VFBノード(フィードバック電圧)はできるだけ小さく設計する

VFBは高インピーダンスのノードであり、ノイズに非常に敏感です。
大きな配線はアンテナのようにノイズを拾ってしまいます。
VFBノードを小さくすることで正確な電圧検出と安定した動作が可能になります。

10.出力コンデンサとGNDピン間のGND配線を太く

出力コンデンサとGNDピン間の配線をを細くすると、GNDバウンス(電位の揺れ)が生じやすく、
ICの誤動作の原因になります。
これを太くすることで出力電圧とGND間の基準がしっかりと取れ、安定した電圧供給が可能です。

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